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岡山地方裁判所 平成9年(行ウ)10号 判決

岡山市浦安南町二〇三番地の三

原告

金高和孝

右訴訟代理人弁護士

藤本徹

岡山市天神町三番二三号

被告

岡山東税務署長 箕野春人

右指定代理人

内藤裕之

中野裕道

長尾俊貴

相木孝治

甲斐好徳

祖田定

主文

一  原告の請求をいずれも棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一当事者の求めた裁判

一  原告

1  被告が平成八年三月五日付けでした原告の平成四年分、平成五年分及び平成六年分(以下「本件各係争年分」という。)の各所得税の更正(以下「本件各所得税更正処分」という。)並びに過少申告加算税の賦課決定(以下「本件各所得税賦課決定処分」、これらを併せて「本件各所得税処分」という。)を取り消す。

2  被告が平成八年三月五日付けでした原告の平成五年一月一日から同年一二月三一日までの課税期間(以下「平成五年課税期間」という。)分の消費税の決定(以下「本件消費税決定」という。)及び無申告加算税の賦課決定(以下「本件無申告加算税賦課決定」という。)を取り消す。

3  被告が平成八年三月五日付けでした原告の平成六年一月一日から同年一二月三一日までの課税期間(以下「平成六年課税期間」といい、これと平成五年課税期間を併せて「本件各課税期間」という。)分の消費税の更正(以下「本件消費税更正」といい、これと本件消費税決定を併せて「本件各消費税更正等処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定(以下「本件過少申告加算税賦課決定」といい、これと本件無申告加算税賦課決定を併せて「本件各消費税賦課決定処分」といい、本件各消費税更正等処分と本件各消費税賦課決定処分を併せて「本件各消費税処分」という。)を取り消す。

4  訴訟費用は被告の負担とする。

二  被告

主文同旨

第二事案の概要

本件は、内装・照明器具取付工事業を営み、税務申告に関するいわゆる白色申告者である原告が、本件各係争年分について被告が推計の方法(類似同業者の材料比率から算定した原告の本件各係争年分の収入金額に類似同業者の平均所得率を乗じて得られた算出所得の金額から、事業専従者控除額を差し引いて原告の事業所得の金額を算出する方法)を用いてした本件各所得税処分及び本件各消費税処分は、理由が付されていないし、推計課税の必要性及び合理性を欠く違法なものであるとして、右各処分の取消しを求めるものである。

一  争いのない事実

1  原告は、住所地において、「岡山電商」の名称で内装工事及び照明器具取付工事業を営み、税務申告に関するいわゆる白色申告者であるが、本件各係争年分の所得税について、被告に対し、別表一の1ないし3の課税処分等経過表の各「確定申告」欄記載のとおりの内容の確定申告書を提出したところ、被告は、これに対して、同各「更正処分」欄記載のとおりの内容の本件各所得税処分を行った。

原告は、これを不服として、本件各所得税処分につき、右各課税処分等経過表記載のとおり、被告に対する異議申立て及び国税不服審判所長に対する審査請求を行い、被告は右異議申立てをいずれも棄却する異義決定をし、国税不服審判所長は、右審査請求を棄却する審査裁決をした。

2  原告は、平成五年課税期間の消費税については、確定申告をせず、平成六年課税期間の消費税については、被告に対し、別表一の5の課税処分等経過表の「確定申告」欄記載のとおりの内容の確定申告書を提出したところ、被告はこれに対して、平成五年課税期間の消費税について別表一の4の課税処分等経過表の「決定処分」欄及び平成六年課税期間の消費税について別表一の5の課税処分等経過表の「更正処分」欄記載のとおりの内容の本件各消費税処分を行った。

原告はこれを不服として、本件各消費税処分につき、右各課税処分等経過表記載のとおり、被告に対する異議申立て及び国税不服審判所長に対する審査請求を行い、被告は右異義申立てをいずれも棄却する異義決定をし、国税不服審判所長は、右審査請求を棄却する審査裁決をした。

二  主たる争点

1  本件各所得税処分及び本件各消費税処分(以下、これらを合わせて「本件各処分」という。)に理由が付されていないことは違法か。

(一) 被告の主張

原告は白色申告者であり、白色申告者の場合は、青色申告者の場合と異なり、更正処分について理由の付記を要求する法令上の規定は定められておらず、また、加算税等の賦課決定処分についても、その理由を付記すべきことを定めた法律上の規定はないことから、更正通知書に更正理由の付記がないこと又は賦課決定処分に理由の付記がないことをもって右の更正処分又は賦課決定処分が違法となるものではない。

憲法二九条、三〇条の規定からただちに白色申告者の更正処分の更正通知書に理由付記が要求されるとする原告の主張に合理的根拠は存在しない。

(二) 原告の反論

本件各処分の通知書に更正の理由が付されておらず、処分の通知方法が不明確である点で、本件各処分は違法である。

税を課される者は、課税根拠を知って初めて右課税に納得するのであり、そのためには、処分の通知書に更正の理由を付記することは不可欠であって、被告が主張するように、形式的に法律に規定がない場合は、その手続は不要であるという解釈は許されない。むしろ、憲法二九条の定める財産権の保障及び憲法三〇条の納税義務の反面解釈として導かれる法律に明記されていない納税の義務はないことの保障からすれば、白色申告者の処分通知書にも更正の理由を付記すべきであるとするのが法律の適正な解釈である。

2  推計課税は必要性があったか。

(一) 被告の主張

被告は、原告が申告した本件各係争年分における原告の所得税の事業所得の金額及び消費税の課税標準額等が正しいかどうかを確認するため、調査をすることとした。しかし、原告は、次のとおり、被告の協力要請にもかかわらず、被告の税務調査に協力せず、被告に対し必要な帳簿書類の提示をしなかったので、被告において原告の所得金額を実額計算によって把握することができなかったことから、被告は、やむなく推計の方法によってこれを算定したのである。

(1) 被告の係官は、原告宅を訪問したり電話をして繰り返し税務調査への協力を求め、調査のために原告宅を訪問した際には、調査に関係のない第三者の立会いのない状態での帳簿書類の呈示及び協力要請をしたにもかかわらず、原告は、民主商工会(以下「民商」という。)の事務局員等の調査への立会いを要求して、調査に関係ない第三者の立会いのない状態での調査に協力しようとはせず、その後、原告は、被告の係官に対し、平成五年分の仕入れに係る明細書、請求書、領収書の一部は提示したものの、結局、本件各係争年分の原告の所得金額を明らかにするために必要なその他の帳簿書類等を呈示しなかった。

(2) 被告の係官が、原告の要求する民商関係者の立会いを認めなかったのは、調査にあたって、被調査者の取引先等の秘密事項を聞くことがあり、原告の取引先との関係で公務員の守秘義務違反となるおそれがあると判断したからである。

そして、所得税法二三四条一項による税務調査における質問検査の範囲、程度、時期、場所、第三者の立会いの認否等、実定法上特段の定めのない実施の細則については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な程度にとどまる限り、権限を有する税務職員の合理的な選択に委ねられているというべきであるから、右のように被告の係官が守秘義務を理由に第三者の立会いを拒否したことは、社会通念上相当な程度にとどまるもので、被告の裁量の範囲内の行為であり、何ら違法なものではない。

(二) 原告の反論

被告の原告に対する税務調査が円滑に進まなかったのは、原告が、被告係官に帳簿書類等を提示したにもかかわらず、民商の者の立会いがあると守秘義務を守れないとして調査を拒んだからである。

しかし、守秘義務により保護されるのは、被調査者の個人的情報にほかならず、その被調査者自身が第三者の立会いを許している以上、守秘義務は、第三者の立会いを拒否すべき理由とはならない。また、被告が、被告の調査行為そのものを第三者に見られたくないというのは、守秘義務には含まれない。

3  推計課税による所得金額の算出及び消費税額の算出には合理性があったか。

(一) 被告の主張

原告の本件各係争年分の所得金額の算出経過は別表二の原告の事業所得の金額の算出経過表のとおりであり、その算出根拠は次のとおり合理性がある。

A 本件各所得税処分について

(1) 収入金額

原告の本件各係争年分の収入金額は、別表三の材料費の額の内訳表のとおり、本件各係争年ごとに原告の取引先に対する反面調査により算出された材料費の額を基礎数値とし、後記の基準を満たす業種、業態及び事業規模が原告と類似する青色申告者(以下「類似同業者」という。)を抽出したうえで、別表四の1ないし3の類似同業者の材料費率及び所得率表のとおり、本件各係争年ごとに右各類似同業者の収入金額に対する材料費の額の割合(以下「材料費率」という。)を求め、原告の材料費の額を右材料費率の平均値で除して算出したものである。

(2) 算出所得金額の計算方法

算出所得の金額は、本件各係争年分ごとに、別表四の1ないし3の類似同業者の材料費率及び所得率表のとおり、類似同業者の収入金額に対する算出所得金額の割合の平均値(以下「平均所得率」という。)を求め、これを別表二の原告の事業所得の金額の算出経過表の番号〈5〉のとおり、前記(1)の原告の本件各係争年分の収入金額に乗じて算出したものである。

(3) 類似同業者選定の合理性

ア 被告は次のような抽出基準を設けて類似同業者を抽出したもので、右選定には客観的な合理性がある。

〈1〉 本件各係争年分を通じて所得税の確定申告について、所得税法一四三条の承認を受けて青色申告書を提出している者で、かつ、平成五年課税期間分又は平成六年課税期間分の消費税について、消費税法(平成六年法律第一〇九号による改正前のもの、以下同じ。)二条一項三号に規定する個人事業者に該当し、消費税の納税義務がある課税期間に消費税の確定申告書を提出している者

〈2〉 本件各係争年分を通じて、主として、家屋の新築、増改築等の工事における取付工事を伴う照明器具の注文販売及び内装工事の請負を行っている者

ところで、原告は、被告が抽出した類似同業者の利益率は、原告作成の陳述書(甲一四)の別紙利益率表(以下「利益率表」という。)及び原告による収支計算の結果導き出される原告の利益率に比して、高率であることから、右類似同業者は原告と営業実態の違うものであり、被告の類似業者選定に合理性はないと主張する。

しかし、推計課税は、納税者の所得金額が直接的な資料によって把握できない場合に、税負担公平の観点から課税の放棄が許されないことから、やむを得ず間接資料によって推計した金額をもって真実の所得金額に近似するものとして認定し、課税するものであるから、各同業者の営業状況に差があり、その所得率にある程度の偏差があっても、それは当然のこととして予定されており、それが当該平均値による推計自体を全く不合理ならしめる程度の顕著なものでない限り、平均値の中に捨象され、推計方法の合理性に影響を及ぼすべきものではない。

また、原告からは、本件各係争年分の請求書や領収書の控えなど原告の計算による利益率を客観的かつ具体的に立証する証拠は一切提出されていないし、むしろ、原告は、利益率について、外注費が付加された商品があることを前提として、収入金額から材料費のみならず外注費をも控除して原告の利益率を算定したものと考えられ、外注費を一切含めていない被告の主張する材料費率における材料費と比較することは合理的ではない。

さらに、原告の主張する利益率は、あくまでも概算であり、原告の感覚的なものであるから、右の原告の主張により、被告の推計を不合理ならしめる程度の顕著な事情があるとはいえない。

〈3〉 本件各係争年又は本件課税期間の中途において、開廃業、休業又は業態を変更していない者

〈4〉 本件各係争年分の所得税について更正又は決定の各処分を受けた者にあっては、国税通則法若しくは行政事件訴訟法の規定による不服申立期間若しくは出訴期間を経過している者又はこれらの争訟が係属していない者

〈5〉 事業所得の金額の計算に係る材料費の額が、本件各係争年分において、いずれも次の範囲内である者(この金額は、被告が把握している原告の本件各係争年分の仕入れ金額の約二分の一以上かつ二倍以下の金額である〔倍半基準〕。)

平成三年分 一四七三万〇〇〇〇円以上五八九二万一〇〇〇円以下

平成四年分 一一四九万七〇〇〇円以上四五九八万八〇〇〇円以下

平成五年分 一一〇九万〇〇〇〇円以上四四三六万三〇〇〇円以下

平成六年分 一五七八万八〇〇〇円以上六三一五万三〇〇〇円以下

〈6〉 照明器具等を商品として販売するための店舗を有していない者

〈7〉 本件各係争年分を通じて、作業に従事する青色事業専従者のいない者

イ 被告は、原告の住所地を管轄する岡山東税務署を含む岡山市及び岡山市に隣接する地域を管轄する岡山西、西大寺、瀬戸、玉野、児島、倉敷の各税務署管内の個人事業者のうち、右ア〈1〉ないし〈7〉の条件すべてに合致する者を抽出するために、右の各税務署長に対して、右抽出条件のすべてに該当する者の本件各係争年分に係る事業内容の報告を求めたところ、岡山東、岡山西及び倉敷の各税務署長から各一名の該当者の報告があったので、これら三件すべてを類似同業者として採用した。

ウ 右方法による同業者の機械的抽出過程に被告の恣意が介在する余地はない。

また、抽出基準についても、資料の内容が正確であると考えられる青色申告者を前提としたうえで、業種業態の同一性、地域、事業規模、事業形態の近似性、青色申告白色申告の別による必要経費算出の同一性、減価償却の方法から原告との類似性を追及したものであることからすると、本件における類似同業者の抽出は、客観的な合理性を有する。

B 本件各消費税処分について

(1) 原告の平成五年課税期間の消費税納税義務の有無

原告は、消費税法二条一項三号に規定する個人事業者に該当し、かつ、平成五年課税期間の基準期間(平成三年一月一日から同年一二月三一日までの期間)における原告の課税売上高は、別表六の1の原告の平成三年課税期間分の課税売上高の算出経過表のとおり、五二四二万〇九四八円となり、その額が三〇〇〇万円を超えているから、平成五年課税期間については、消費税法九条に係る小規模事業者に該当しないので、原告は、平成五年課税期間について消費税法五条に規定する納税義務がある。

(2) 消費税の課税標準額

本件各課税期間の消費税に係る課税標準額については、原告の取引先の反面調査により算出された材料費の額を基礎数値として、右の所得税の各更正処分における推計方法と同様の方法により、本件各課税期間における収入金額を算出し、当該金額に類似同業者の平均課税売上高割合を乗じて算出した金額(税込み)に一〇三分の一〇〇を乗じて算出した。

すなわち、別表七の1及び2の類似同業者の課税売上高割合表のとおり、類似同業者の収入金額に対する課税売上高(税込み)の割合の平均値を求め(以下「平均課税売上高」という。)、右A(1)で述べた原告の平成五年分及び平成六年分の各収入金額に右の平均課税売上高を乗じて算出した金額は、いずれも消費税法二条一項九号に規定する課税資産の譲渡の額に該当するものであり、本件各課税期間分の消費税の課税標準は、右各金額に一〇三分の一〇〇を乗じて算出した金額(国税通則法一一八条一項の規定により千円未満の金額を切り捨てたもの)となる。

(3) 課税標準に対する消費税額

原告の課税標準額に対する消費税額は、右(2)の消費税の課税標準額に消費税の税率一〇〇分の三を乗じて算出した金額である。

(4) 課税仕入れに係る消費税額の控除(以下「仕入控除税額」という。)

平成五年課税期間分については、原告は、被告の係官に対し、原処分調査の際、原告の平成五年課税期間分の仕入れなどに係る取引先の請求書等を提示しているので、別表八の平成五年課税期間分の課税仕入高及び仕入控除税額一覧表のとおり、被告は、右資料に基づく課税仕入れに係る支払対価の額に一〇三分の三を乗じて算出した額(消費税法三〇条一項)を仕入控除税額とした。

平成六年課税期間分については、原告は、消費税法三七条一項の規定の適用を受ける旨の届出書を提出し、消費税法施行令五七条二項三号の「第三種事業 百分の七十」を適用して確定申告しているので、右規定を適用して課税標準額に対する消費税額に一〇〇分の七〇を乗じて算出した額を仕入控除税額とした。

原告は、外注費にかかる消費税相当額を仕入れにかかる消費税額として控除すべきと主張するが、平成六年課税期間については、消費税法三七条の簡易課税制度の適用があり、仕入税額控除について実額で算出する余地はないし、平成五年課税期間については、原告は、仕入れなどに係る取引先の請求書等は提示したものの、その他の関係書類の提示についてはこれを拒否したのであるから、被告において、原告が課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿又は請求書等を保存しているか否かを確認することができなかったのであり、効率的な税務調査を実現することにより、申告納税制度を採用する消費税法のもとで適正な税収を確保しようとする同法三〇条七項の趣旨からすると、税務調査に際し、税務職員からの帳簿等の提示要求を拒否した場合には、同法三〇条一項は適用されず、仕入税額の控除の要件を欠くものといわざるを得ない。

また、仮に原告の主張する外注費にかかる消費税額につき、その額を仕入税額控除として控除したとしても、平成五年課税期間の決定処分にかかる消費税額を上回るのであるから、その範囲内で行われた同課税期間の決定処分は適法である。

(5) 限界控除税額

平成五年課税期間分については、別表五の原告の消費税の課税標準額及び消費税額の金額の算出経過表の番号〈3〉「課税売上高(税込み)(〈1〉×〈2〉)」欄記載のとおり、原告の課税売上高は五〇〇〇万円未満であり、消費税法四〇条一項の規定の適用があるので、右規定の適用により別表九の限界控除税額計算書のとおり算出され、これを控除する。

平成六年課税期間分については、同期間分の課税売上高は、右別表五の番号〈3〉「課税売上高(税込み)(〈1〉×〈2〉)」欄記載のとおり、六一〇七万六五一六円であり、五〇〇〇万円以上であるため、限界控除の適用はない。

(6) 消費税額

原告の各課税期間分の消費税額は、右(3)の課税標準額に対する消費税額から、右(4)の課税仕入れに係る消費税額及び平成五年課税期間分については更に(5)の限界控除額を差し引いた金額(国税通則法一一九条の規定により百円未満の金額を切り捨てたもの)である。

(二) 原告の主張

被告主張の推計方法は、次の点で同業者の類似性がなく、合理性を欠く。

(1) 利益率

同業者であっても、その者の経営規模、取引先、契約形態等により、利益率は著しく異なる。

原告の利益率は、照明器具販売・取付工事の場合、五・五パーセントから二五パーセントの範囲であり、クロスの販売・施工は、八・二パーセントから二〇パーセントの範囲である。クッションフロアー、カーペット、ブラインド、カーテンレール、アコーディオンカーテン、カーテン等は、一三・三パーセントから二八パーセントであり、エアコンは、三パーセントから一二・三パーセントである。

したがって、被告が使用している平均所得率(利益率)である二四・六パーセント(平成四年度分)、二八・五パーセント(平成五年度分)、二二・三パーセント(平成六年度分)は高率に失している。被告の使用している材料費率は誤っており、これを前提とした所得金額は合理的な推計とはいえない。

被告が推計に使用した類似同業者としての調査対象者は、Aと記号が付されているのみで商店の屋号や氏名は表示されておらず、経営の内容について工事と商品販売などの割合等も明示されていないので、類似同業者として妥当かどうか判別できず、これを開示しないまま合理性のある推計であると主張することは許されない。

(2) 経費

事業者は、それぞれ実情が異なり経費の出費も違うから、平均所得率を適用しても合理的な推計とはならない。

原告の計算では、本件各係争年度分において、売上利益額から経費として、それぞれ五二三万三六七八円(平成四年度分、この他に専従者控除八〇万円)、五三六万一四一七円(平成五年度分)、八一三万八六二二円(平成六年度分)を差し引いた金額である、三一三万二一五一円(平成四年度分)、四四二万八七六三円(平成五年度分)、四二六万四二四一円(平成六年度分)が本件各係争年度分の営業所得であるが、右金額は、被告の推計の方法により算出された収入金額と著しく異なっていることからすると、被告の推計は誤っており、合理性に欠けるものである。

(3) 課税仕入れに係る消費税額の控除

消費税法三〇条一項の規定による課税仕入れにかかる消費税額の控除につき、外注費にかかる消費税相当額の控除をしていないことは違法である。

第三争点に対する判断

一  主たる争点1(理由付記を欠くことの違法性)について

証拠(甲一ないし五)によれば、本件各処分の通知書には本件各処分の根拠となる理由が付記されていなかったことが認められる。しかしながら、いわゆる白色申告書にかかる更正処分並びに無申告加算税賦課決定処分及び過少申告加算税賦課決定処分に当該処分の根拠となった理由を付記しなければならないとする規定は存在せず、この点に関する原告の主張は独自の見解であって採用できないから、本件各処分につきその理由付記がなくても何ら違法ではない。

二  主たる争点2(推計課税の必要性)について

1  証拠(乙九、証人稲田光司、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。

(一) 被告は、原告がした本件各係争年分の所得税の事業所得の金額及び消費税の課税標準額等が正しいかどうか確認するため、原告の所得税及び消費税の調査を実施することとし、被告の係官稲田光司(以下「稲田」という。)と同原一己(以下「原」という。)が右調査を担当することとなった。

(二) 稲田と原は、平成七年四月一二日午前九時二〇分ころ、原告宅へ調査のため訪れたが、不在であったため、稲田の名前で、〈1〉所得税及び消費税の調査のため訪問したが不在であったこと、〈2〉同年四月一八日午前九時ころ再度来訪する予定であること、〈3〉平成四年分ないし平成六年分の帳簿及び証ひょう書類(以下「帳簿種類等」という。)を用意してほしいこと及び〈4〉右再訪予定日が都合の悪い場合には連絡をしてほしいことを記載した連絡表を置いて帰署した。

原は、同月一四日午前九時四五分ころ、原告の妻から、右の再訪予定日である四月一八日は都合が悪いので五月の連休明けに変更してほしい旨の電話を受けた。原は、できれば右再訪予定日に訪問したい旨再度申し入れたが、原告の妻は都合がつかないと応じなかったため、原は、帳簿書類等だけでも見せていほしい旨伝えると、原告の妻は、帳簿は付けておらず、領収証や請求書等の書類も一部しか残っていない旨答え、結局、後日原告の方から被告へ連絡することとなった。

(三) 稲田は、平成七年四月一七日午前八時五〇分ころ、原告から電話を受けたので、原告の事業内容及び記帳方法について概括的に聴取を行い、確定申告に係る帳簿種類等の提示を求めたが、原告は、帳簿はなく、仕入れに係る証ひょう書類も最近のものしか保存していない旨答えた。さらに、原告は、右の再訪予定日である四月一八日は都合が悪く、その週はずっと仕事が忙しくて都合がつかない旨述べたので、後日、改めて原告の方から調査の日程について連絡することとなった。

(四) 原告は、平成七年四月二一日午前九時四五分ころ、稲田に電話し、その次の週はどうしても都合がつかないので、同年五月九日にしてほしい旨申し入れたため、稲田は、やむを得ず原告の都合に合わせることとし、原告が保存している書類を用意することと当日の訪問時刻について後日原告の方から電話するよう依頼した。

原告は、同月八日午前八時五〇分ころ、稲田に電話し、稲田らの原告宅への訪問時間を翌九日午後三時と約し、稲田は、原告に対し、当時には、原告が保存している種類を用意しておくことを再度依頼し、調査に原告及び原告の妻が応じることを確認した。

(五) 平成七年五月九日午後二時五五分ころ、稲田と原は、原告宅に赴き、原告に対し、それぞれ身分証明書を提示して、原告の本件各係争年分の所得税及び本件課税期間分の消費税の調査の目的で訪問した旨を告げた。

その際、民商の早川と名乗る男性が一人同席していたので、稲田が、原告に対し、早川の立会いの理由を問うたところ、原告は、「ちょっと不安になって、お願いして来てもらったんです。」と述べた。

稲田と原は、テーブルの上に証ひょう書類と思われる袋が置かれていたので、原告に対し、申告内容を確認するため右書類の提示を求めるとともに、調査に関係のない早川を退席させるよう要請した。原告は、「私が忙しいところをお願いして来てもらってますので、それはできません。」と述べ、第三者の立会いのない状態での調査には応じようとはしなかった。

稲田と原は、原告に対し、守秘義務について、原告にではなく稲田ら被告係官に課せられていること、調査にあたって原告の事業内容、取引先、取引状況などを聴取することになるので、調査の場に調査に関係のない第三者が立ち会うと、稲田らの守秘義務が守れないなど、詳しく説明した上で、再度、第三者の立会いのない状態で書類の検査ができるようにしてもらいたい旨要請したが、原告は、「私には守秘義務はありませんので、どうぞ、この書類を見てください。」とか、「このままでお願いします。」と述べるばかりで、第三者の立会いのない状態での調査協力に応じる姿勢は見せなかった。

稲田と原は、やむなく当日の調査を打ち切ることとし、原告に対し、第三者の立会いのない状態で帳簿書類等を提示してもらえるのであれば、その週中に連絡するよう依頼して、原告宅を辞去した。

(六) 稲田は、平成七年五月一二日午前八時四〇分ころ、原告から電話を受けたので、原告に対し、第三者の立会いのない状態で調査に協力するよう依頼したところ、原告は、調査協力の要請には応じない旨の答弁に終始した。そこで、稲田は、後日、再度原告から稲田に対し連絡するよう依頼して電話を切った。

(七) 稲田は、平成七年五月一五日午前八時五〇分ころ、原告から電話を受けたので、原告に対し、再度、第三者の立会いのない状態での調査協力を依頼したが、原告は第三者の立会いの下でしか帳簿の確認をさせないと決めた旨答えた。

稲田は、原告から、原告の事業内容や金融機関との取引内容などを聴取し、原告に対し、再度、第三者の立会いがある場合は守秘義務の関係上、帳簿種類等に基づく質問検査ができない旨説明したが、原告からは明確な応答がなかったため、原告が帳簿種類等を提示しないなら、原告の取引先等を確認するなどして調査を進めざるを得ないことを伝えた。

また、稲田は、原告が、翻意して調査に関係ない第三者の立会いのない状態での帳簿書類等を提示する可能性も考慮して、右のように翻意した場合には稲田まで連絡するよう述べた。

(八) 稲田は、原告に対し、今後も引き続き第三者の立会いのない状態での帳簿書類などの提示を求める等、調査協力の要請を行うこととしつつも、原告が調査に協力をしない場合のことも考えて、平成七年五月一六日から、金融機関及び原告の取引先への反面調査を開始することとした。

(九) 稲田は、平成七年五月二六日、原告に電話をしたが不在であり、応対した原告の妻に、原告から電話するように伝言を依頼した。

稲田は、同月二九日、電話をしてきた原告に対し、第三者の立会いのない状態で帳簿書類等を提示する意思の有無を尋ねたところ、原告は、稲田の説明は理解できるが、気持ちは変わらない旨述べた。稲田は、調査協力がない場合は、被告の方で調査を進め、推計課税を行わざるを得ないことを説明したが、原告は、調査に協力する意思を示さなかった。

(一〇) 稲田は、平成七年六月一五日、原告宅に電話したが、原告が不在だったため、応対した原告の妻に、原告から稲田へ電話するよう伝言を依頼した。

稲田は、同月一九日、原告からの電話を受け、原告に対し、調査への協力を要請したが、原告から調査に協力する旨の回答を得ることはできなかった。稲田は、原告に対し、原告宅を訪れたい旨告げ、原告の都合を尋ねたところ、原告の方から連絡をすることとなった。

(一一) 稲田は、平成七年六月二六日午前八時五五分ころ、電話をかけてきた原告に対し、半日でもよいので仕事の都合をつけて調査ができるようにしてほしい旨申し入れたところ、原告は、「現場との関係で時間をとることは無理です。」と答え、稲田が、原告に対し、第三者の立会いのない状態での帳簿書類等の提示を求めても、原告は、「もう十分に調べられているでしょう。それで調査は終わりじゃないんですか。」、「私はこの前でも見てほしいから出したんですよ。」などと答え、第三者の立会いのない状態で帳簿書類等を提示して、調査に協力する姿勢は一切示さなかった。

(一二) 稲田は、平成七年七月二四日午前一〇時三五分ころ、電話をかけてきた原告に対し、再度、帳簿書類等の提示を求めたところ、原告は、「話は一緒ですわ。立会いを認めていただければ見ていただきたいんです。」と述べた。稲田が、原告の意思を確かめるため、「帳簿書類を見せていただけんということですか。」と尋ねたところ、原告は、「そんなことはないけど・・・。盆明けにならんと時間はとれないですよ。」とあいまいな答えをしたので、稲田は原告に対し、盆前にもう一度連絡するよう依頼した。

(一三) 稲田は、原告から連絡がなかったので、平成七年八月一八日、原告宅へ電話し、「金高さん、考えていただけましたか。」と尋ねたところ、原告は、「期待にそえませんです。」と述べ、依然として第三者の立会いのない状態での調査には応じる意思のないことを明らかにした。

その際、原告が、平成四年分及び平成五年分については所得金額を粉飾している旨述べたことから、稲田は、原告に対し、粉飾をしているのであれば、なおさら帳簿書類等を提示して説明するべきであると説得し、再考を促して、後日電話をするように伝えた。

(一四) その後、原告からの電話連絡がなかったので、稲田は、平成七年九月八日、原告宅に電話したところ、原告は不在であったので、原告の妻に対し、原告から電話するよう依頼した。

稲田は、同月一一日午前九時五〇分ころ、電話連絡をしてきた原告に対し、帳簿書類等の提示をするかどうかの意思を確認したところ、原告は、「ああ・・まあ心変わりはないです。」と答え、調査に協力する意思を示さなかった。稲田は、原告宅を訪れたい旨申し入れ、日程については原告が後日連絡を入れることとなった。

同月一八日午前九時五〇分ころ、原告から稲田に電話があり、稲田らは、同日午後一時三〇分に原告宅を訪れることとなった。

(一五) 稲田及び被告係官戎子英信(以下「戎子」という。)は、平成七年九月一八日午後一時三〇分ころ、原告宅を訪れた。稲田は、原告に対し、「電話で何回もお願いしましたが、帳簿書類を見せていただけませんか。」と調査協力を依頼したが、原告は、第三者の立会いがある状態でなければ帳簿種類等を提示することはできない旨述べた。稲田が、原告に対し、帳簿書類等の作成・保存の有無について尋ねたところ、原告は、原告の妻が記帳している帳簿があることは認めたが、稲田と戎子が、原告に対し、経費について説明を求めたところ、原告は、外注先や支払金額は言えないなどと述べるのみで、経費に関する書類等を提示しようとはしなかった。

稲田は、原告が所得金額の粉飾をしていたことを以前聞いていたので、その理由を尋ねると、原告は、土地購入の目的で借入をするために粉飾をしたが、結局駄目になったと説明するにとどまり、右粉飾が事実か否かを帳簿書類等に基づいて説明するようにとの稲田と戎子の求めには応じなかった。

稲田と戎子は、原告が帳簿書類等の提示要請に応じる態度を示さなかったので、原告に対し、「どうしても見せていただけないのなら最終的に推計をすることになりますね。」と伝えたところ、原告は、「そうしてください。」と述べた。

そこで、稲田と戎子は、原告が帳簿書類等の提示要請に応じる意思はなく、原告の所得金額、課税標準等を推計により算定することもやむを得ないとの態度を示したものと判断した。

(一六) 稲田と戎子は、調査を進める中で、平成五年課税期間につき原告に消費税の申告義務があると判断したことから、平成七年一一月二二日午後三時二〇分ころ、原告に対し、帳簿書類等の提示要請と消費税の仕入税額控除の説明を行うため、原告宅を訪れたが、原告は不在だったので、応対した原告の妻に対し、原告の方から稲田へ連絡するよう伝言を依頼した。

稲田は、同月二四日午前九時一五分ころ、電話してきた原告に対し、消費税の仕入税額控除については、帳簿又は請求書等を保存しない場合は認められない旨説明し、再度、帳簿書類等の提示を認めたが、原告はもう一度考えて連絡すると答えて電話を切った。

戎子は、同年一二月八日午前八時三〇分ころ、原告から電話を受け、原告が、「種類のことなんですが、全部というわけにはいきませんが、ある程度見ていただきたいんですが。」と申し出たので、戎子は、調査を行ううえですべての帳簿書類等を提示してほしい旨説明したところ、原告は、全部の帳簿書類等の提示には難色を示し、後日原告宅での調査を約束するにとどまった。

(一七) 稲田と戎子は、平成七年一二月一二日午後三時、原告宅を訪れたが、原告が不在であったことからいったん辞去し、午後三時三〇分ころ、再度原告宅を訪れたところ、原告は帰宅していた。

稲田と戎子は、原告に対し、帳簿書類等の提示を求めたところ、原告は、平成五年分の仕入金額の明細書のみを提示した。稲田と戎子は、原告に対し、右の明細書のみでは所得金額が正しいかどうかを判断することができず、消費税の仕入税額控除を認めることもできない旨説明し、取引にかかるすべての書類を提示するよう求めると共に、調査対象年分の帳簿書類等を提示しない場合は推計課税をすることになると再度説明したところ、原告は、「それはわかっています。」と答えたものの、他の帳簿書類等については提示する姿勢を示さなかった。

稲田と戎子は、原告に対し、再考を促し、後日連絡するよう依頼して、帰署した。

(一八) 原告は、平成八年一月一一日午前八時四五分ころ、稲田に電話し、書類がそろったので見に来てほしい旨申し出て、日程については後日連絡すると述べた。

戎子は、同月一九日午前八時四五分ころ、原告から電話を受け、原告との間で日程調整を行い、同月二六日午後二時に原告宅を訪れることとなった。

(一九) 稲田と戎子は、平成八年一月二六日午後二時、原告宅を訪れた。原告は、稲田と戎子に対し、平成五年分の仕入れにかかる請求書及び領収書を提示した。

稲田と戎子が、「売上げに関する書類やこれ以外の四年分と六年分の仕入れや経費の書類はどうされたんですか。」と質問すると、原告は、「そうでしたかね。私はこれだけでと思ったんですが。」と答えた。

稲田と戎子の質問に対し、原告は、平成三年、四年ころの分からの売上にかかる請求書控え等を保存していることを認めたので、稲田と戎子は、売上げにかかる請求書控えなどの売上げに関する書類を含む帳簿書類等のすべてを提示しないと申告された所得が正しいかどうか判断できないと伝えたところ、原告は、「それは分かりますが。」とあいまいな答弁をするのみであった。

稲田と戎子は、提示された平成五年分の仕入れにかかる書類を検査した後、再度、調査対象年分の売上げ及び仕入れに関するすべての書類の提示の意思を原告に確認したところ、原告は、提示された平成五年分の仕入れにかかる書類を指し、「売上げは仕入れから分かりますよ。これでやってください。」と答えるのみで、その他の帳簿書類等を提示する意思はないことを明らかにした。

(二〇) 稲田は、平成八年一月三一日、調査結果を原告に伝えるため、原告宅を訪れたが、原告が不在だったので、応対した原告の妻に対し、調査結果を伝え、帳簿書類等を提示する場合又は右調査結果に基づいて修正申告及び期限後申告をする意思があれば、連絡をするように、連絡がない場合は、更正、決定処分を行うことになる旨を原告に伝えるよう依頼して辞去した。

(二一) 被告は、平成八年二月五日までに原告からの連絡がなく、修正申告書等の提出もなかったことから、本件各処分を行った。

2  右認定事実によれば、被告の係官が、平成七年五月九日、原告宅を訪れた際、原告は、民商関係者を立ち会わせ、被告の係官が、守秘義務の関係で第三者の立会いがある場合には税務調査は進められない旨説明し、第三者の立会いのない状態で帳簿書類等を提示するよう説得したにもかからわず、原告は、これに応じないで、民商関係者の立会いのもとで調査を進めるよう繰り返すのみで、調査に協力する態度は一切窺われなかったし、その後も、第三者の立会いなしに帳簿書類等を提示することを承諾せず、被告の係官が、原告の翻意を期待して、何度も、第三者の立会いのない状態での帳簿書類等の提示を説得したにもかかわらず、原告は、これを拒否し続け、最終的には、仕入金額の明細書、請求書及び領収書の一部のみを提示したが、調査に必要な帳簿書類等のすべてを提示することは拒否したのであるから、被告の係官が直接原告から帳簿書類等の提示を受けて調査することを断念したのもやむを得なかったものと認められる。したがって、被告は、経費等を具体的に把握して、原告の所得金額を実額で把握することを諦めざるを得なかったのであるから、推計の必要性があったと認められる。

3  これに対し、原告は、民商関係者の立会いさえ認められれば調査に協力する意思であり、被告係官が原告宅を訪問したとき、所得金額の計算に必要な書類等は揃っていたのであるから、被告が民商関係者の立会いを認めれば、少なくとも、売上額及び仕入額については実額の把握が可能であり、経費についても証拠のあるものは認めることができたはずであると主張し、原告本人尋問でもこれに沿う供述をする。

(一) しかしながら、所得税法二三四条一項の規定は、所得税について調査の権限を有する税務署等の係官において、当該調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、被調査者の事業の形態等諸般の具体的事実にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合には、調査の一方法として、同条一項各号に定める者に対し質問し、又はその事業に関する帳簿、書類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行う権限を認めた趣旨であって、この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、右必要と相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、これを権限ある税務署等の係官の合理的な選択にゆだねたものと解するのが相当である(最高裁昭和五八年七月一四日第一小法廷判決・訴務月報三〇巻一号一五一頁参照)。

(二) 原告の具体的な所得金額を把握しようとする本件調査では、当然に、原告の取引先に関係する事項にも調査が及ぶことが予想され、被告の係官が原告にその取引先のプライバシーに関する事項等をみだりに他に漏らすことが許されない事項について質問し回答を求めることもあり、原告が要求する民商関係者の立会いを認めることは、被告の係官が原告の取引先との関係で公務員の守秘義務違反となるおそれがあると考えられること、税務調査は、収入金額や必要経費について、その内容を一番把握している納税義務者本人等からの説明を求め、あるいは帳簿書類等の検査をするものであるから、納税者等の権利保護のために専門知識を有する者の立会いが必ず必要であるとも考えられないことからずると、被告の係官が守秘義務を理由に第三者の立会いを拒否したことは、社会通念上相当な限度にとどまっており、被告の係官の裁量の範囲内であるというべきである。そして、仮に、原告が、原告の収入金額の実額を把握できる帳簿書類等を用意していたとしても、原告の協力がなかったため第三者の立会いのない状態で、右帳簿書類等を調査することはできなかったのであるから、これによって推計の必要性が否定されることはない。

三  主たる争点3(推計の合理性)について

1  前記争いのない事実、証拠(甲一ないし一四二、乙一ないし八、一〇〔いずれも枝番を含む〕、証人下方宏展、原告本人)及び弁論の全趣旨によれば次の事実が認められる。

(一) 被告は、本件各係争年ごとに、原告の取引先に対する反面調査により算出された材料費の額を基礎数値とし、類似同業者を抽出したうえ、それぞれ右同業者の材料費率の平均値を求め、原告の本件各係争年分の材料費の額を右平均材料費率で除して原告の収入金額を算出した(別表二、三、四の1ないし3)。

右のようにして算出した原告の収入金額に、類似同業者の算出所得率の平均値を乗じて、原告の事業所得の金額を算出した(別表二)。

また、消費税については、右のように算出した原告の収入金額に類似同業者の課税売上高割合の平均値を乗じて算出した金額に一〇三分の一〇〇を乗じて原告の課税標準額を算出した(別表五)。

(二) 右(一)の類似同業者の抽出にあたっては、広島国税局国税実査官下方宏展(以下「下方」という。)が、「『同業者(個人)の課税事績表』の報告について」と題する書面(乙一)を起案し、広島国税局長名で右書面を通達として、平成九年一一月一七日、岡山市及び岡山市に隣接する地域を管轄する岡山東、岡山西、西大寺、瀬戸、玉野、児島及び倉敷の各税務署長に対し報告を求めた。

(三) 右通達書面には、類似同業者の抽出基準において次の条件が設けられていた。

〈1〉 本件各係争年分を通じて所得税の確定申告について、所得税法一四三条の承認を受けて青色申告書を提出している者で、かつ、平成五年課税期間分又は平成六年課税期間分の消費税について、消費税法二条一項三号に規定する個人事業者に該当し、消費税の納税義務がある課税期間に消費税の確定申告書を提出している者

〈2〉 本件各係争年分を通じて、主として、家屋の新築、増改築等の工事における取付工事を伴う照明器具の注文販売及び内装工事の請負を行っている者

〈3〉 本件各係争年又は本件各課税期間の中途において、開廃業、休業又は業態を変更していない者

〈4〉 本件各係争年分の所得税について更正又は決定の各処分を受けた者にあっては、国税通則法若しくは行政事件訴訟法の規定による不服申立て期間若しくは出訴期間を経過している者又はこれらの訴訟が係属していない者

〈5〉 事業所得の金額の計算に係る材料費の額が、本件各係争年分において、いずれも次の範囲内である者(この金額は、被告が把握した原告の本件各係争年分の仕入れ金額の約二分の一以上かつ二倍以下の金額である〔倍半基準〕。)

平成三年分 一四七三万〇〇〇〇円以上五八九二万一〇〇〇円以下

平成四年分 一一四九万七〇〇〇円以上四五九八万八〇〇〇円以下

平成五年分 一一〇九万〇〇〇〇円以上四四三六万三〇〇〇円以下

平成六年分 一五七八万〇〇〇〇円以上六三一五万三〇〇〇円以下

〈6〉 照明器具等を商品として販売するための店舗を有していない者

〈7〉 本件各係争年分を通じて、作業に従事する青色事業専従者のいない者

(四) 被告において、右〈1〉ないし〈7〉の条件を付したのは、原告と業種、業態及び事業規模の合致する類似同業者を抽出するためであり、このうち右〈1〉の条件を設定したのは、青色申告者は、大蔵省令により、継続的な記帳義務が課されており、右記帳に基づいて申告が行われるため、右申告により入手される資料は、一応正確なものと認められ、資料の正確性を担保できると考えたからであった。

また、右〈2〉の条件を設定したのは、被告において、原告が、大きく分けて照明器具の注文販売と内装工事の請負という二種類の業務を行っていることを確認していたことから、原告の業態により近い同業者を抽出するためであった。

右〈1〉の「本件各係争年分を通じて」との条件及び〈3〉の条件を付したのは、少なくとも一年間は同種事業を継続した状態で得られた資料でなければ、その収支の実績の不偏性が担保できないと考えられたからであった。

右〈4〉の条件を設定したのは、同条件により除外されることとなる者は所得金額に争いがあり、所得が確定していないので、同業者として適当ではないため、抽出対象者から除くこととしたからであった。

右〈5〉の条件を設定したのは、事業規模の観点から、原告との事業規模の類似する同業者を抽出するためであり、本件においては、事業規模を判断する基準として、材料費の金額を基礎数値としているが、その材料費の金額の幅につき、いわゆる倍半基準によったのは、その基礎数値の二分の一以上二倍以下という範囲が、規模の類似性が担保される最大限の幅であると考えたからであった。

右〈6〉の条件を設定したのは、被告の調査により、原告は照明器具等を商品として販売するための店舗を有していないと認められ、右条件は、原告の業態を判断するための要素であると考えたため、原告の業態と合致した同業者を抽出するためであった。

右〈7〉の条件を設定したのは、原告のような個人事業者が営む照明器具取付工事業及び内装工事業においては、従業員数は当該事業の収入金額や所得金額を左右する重要な要素となり、原告においては、平成四年分に事業専従者として原告の妻が一名いたが、被告の調査によれば、原告の妻は現場作業には従事していないものと認められ、平成四年分以外の係争年分においても、同様と認められたため、その業態を類似させるためであった。

(五) 被告が、右通達中で、必要経費の額につき、「青色申告者に限り認められている必要経費を除く」こととしたのは、原告は白色申告者であったため、青色申告者にのみ特典として認められている経費を除く必要があったからであった。

また、被告は、右通達中で、「減価償却費の計算については、対象者が定率法による計算又は租税特別措置法の規定による割増償却及び特別償却を選択している場合には、その減価償却費の額は定額法による計算又は割増償却及び特別償却を適用しないで計算した所の金額とすること」としていたが、これは、右定率法、割増償却、特別償却は、税務署長に対する届出若しくは申告の際の明細書の添付があって初めて認められるものであることから、原告においては、そのような届出をしていないため、抽出した類似同業者が特定の届出の方法で計算している場合であっても、それらの法法によららないで、原告と同じ方法の定額法、普通償却によって算定する必要があるためであった。

(六) 右(二)の通達に対し、岡山東、岡山西及び倉敷の各税務署長から各一名の該当者の報告があったので、これら三件すべてを類似同業者として採用した。

2  ところで、推計課税は、納税者の所得金額の実額が直接的な資料によって把握できない場合に、税負担公平の観点から課税の放棄が許されないことにより、やむを得ず、間接資料によって推計した金額をもって真実の所得金額に近似するものとして認定し、課税するものであるところ、同業者の平均所得率によって所得金額を推計する場合、その目的は、推計によって得られた蓋然的近似値を真実の所得金額と認定することに存するのであって、各同業者の営業状況に差があるのはむしろ当然のこととして予定されている。また、その所得率には、ある程度の偏差が存するのが通常であり、類似同業者の営業内容、設備等の個別的条件を厳格に斟酌し、納税者と類似同業者との類似性を過度に要求することは、推計の方法による課税自体を不可能にすることになりかねない。

かかる推計課税の趣旨目的などからすると、推計の方法が、業種、業態及び事業規模の一応の類似性並びに平均値算出方法の整合性等、推計の主要な部分において、基礎的要件に欠けるところがない以上、同業者に通常存在する程度の個別的な営業諸条件の差異は、それが当該平均値による推計自体を全く不合理ならしめる程度の顕著なものでない限り、平均値の中に捨象され、推計方法の合理性に影響を及ぼすべきものではないと解すべきである。

3  これを本件についてみると、右1で認定した推計課税の内容によれば、被告は、原告の取引先に対する反面調査により把握した材料費を基礎数値とし、これを類似同業者の材料費率で除して原告の収入金額を算定し、所得税については、これに類似同業者の平均所得率を乗じるなどして、原告の本件各係争年分における所得金額を算出しており、消費税についても、右の方法により算定した収入金額に類似同業者の課税売上高割合の平均値を乗じて算出された金額に一〇三分の一〇〇を乗じて課税標準額を推計しており、このような算出方法自体は一般的合理性を有していて相当である。また、被告が類似同業者の抽出にあたって設定した前記1(三)〈1〉ないし〈7〉の条件のうち、〈2〉、〈5〉、〈6〉及び〈7〉の条件は、抽出される業者と原告との業種・業態における類似性を確保する見地から見て相当であり、また、〈1〉、〈3〉及び〈4〉の条件は、抽出の結果得られる基礎資料の正確性を担保しているものと認められる。

4  ところで、原告は、被告の使用している平均所得率(利益率)は、原告の計算に係る利益率に比して高率に失しており、被告の使用している材料費率は誤っているから、これを前提とした所得金額は合理的なものとはいえないと主張する。

しかし、原告の主張に係る「利益率」(甲一三、一四)は、基本的には個々の商品の販売金額に占める利益の割合であるとしても、具体的な計算方法及びその数値の具体的に表現しているものが不明であるうえ、右「利益率」の算定には、外注費をも控除している(原告本人)ことからすると、外注費を全く考慮せずに算出する被告の主張に係る材料費率とも異なるものであって、必ずしも両者を比較するのが妥当とはいえないし、原告は、商品の販売のみならず、商品の取付けにかかる施工・工事の手数料によっても収入を得ているのであるから、商品販売によって得る利益のみを表していると思われる「利益率」は、原告の収入金額を算定する基礎としては適当とはいえない。また、原告の利益率の計算が正確であることを裏付ける客観的具体的証拠はなく、むしろ、原告本人の供述によれば、原告の感覚的なものに基づく概算によるものであると認められることからすれば、必ずしも、原告の主張する利益率を根拠に算出された収入金額がより実額に近い数値を表しているとはいえず、右数値が被告の計算による収入金額と乖離しているからといって、原告の業態が他の類似同業者に比して特殊であるという根拠にはならないし、被告の推計を不合理ならしめる程度の顕著な事情があったともいえない。

5  また、原告は、被告が推計に使用した類似同業者としての調査対象者は、記号が付されているのみで商店の屋号や氏名は表示されておらず、経営の内容について工事と商品販売などの割合等も明示されていないので、類似同業者として妥当かどうか判別できず、これを開示しないまま合理性のある推計であると主張することは許されないと主張する。

しかしながら、被告が推計に使用した類似同業者の屋号や氏名を明示しないのは、国家公務員法一〇〇条一項、所得税法二四三条所定の税務署員に課せられた守秘義務に基づくものであるところ、前記認定のとおり、被告は類似同業者を抽出するにあたり、前記1(三)〈1〉ないし〈7〉の条件を課し、抽出される業者と原告との業種・業態における類似性を確保し、抽出の結果得られる基礎資料の正確性を担保していること及び同業者間に通常存在する程度の営業状態の差異は平均値の中に捨象されることからすれば、類似同業者の屋号及び氏名の非開示が、それだけで被告の推計を不合理ならしめものとはいえない。

6  さらに、原告は、事業者はそれぞれ実情が異なり経費の出費額も異なることから平均所得率を適用しても推計方法としては合理的ではなく、むしろ、少なくとも経費に関しては可能な範囲で実額計算すべきであり、これが可能であるにもかかわらず怠った被告の推計は合理性に欠ける旨主張する。

しかし、推計課税がされた場合には、被告が反面調査によって把握し得る原告の材料費の範囲には自ずと限界があり、実際には相当の捕捉漏れがあることも十分予想され、右材料費を元に推計された収入金額は、推計の合理性を基礎付ける事実として、あくまでその額を下回らない収入金額があったというものにすぎないから、これが実際の収入金額に合致するとは限らず、むしろ実際の収入金額を下回る可能性が高いので、仮に納税者が経費の実額を立証したとしても、被告主張の収入金額がその全てであることを立証しない限り真実の所得金額が推計による所得金額よりも過少であることを立証したことにはならない。

したがって、原告が、収入金額の実額が被告主張の収入金額より過少であることを主張するには、経費についての実額の主張立証のみでは足りず、収入金額についてもその全てを実額をもって主張立証する必要があることからすると、経費のみを実額で計算すべきとの原告の主張は失当であるし、また、原告の主張する経費は、その全てが具体的な領収書等の裏付けに基づくものではなく、その計算が必ずしも正しいとはいえないことからしても、原告主張の経費の数値を推計計算に用いなかったからといって、右推計が不合理となるものではない。

7  次に、原告は消費税法三〇条一項の規定による課税仕入れにかかる消費税額の控除につき、外注費にかかる消費税相当額の控除をしていないことは違法であると主張する。

ところで、消費税法は、申告納税方式を採用しているので、原則として納付税額は納税者のする申告によって確定し、申告がない場合又は申告にかかる税額が税務署長等の調査した金額と異なる場合には、税務署長が更正・決定などの処分を行うことによって確定するものであるところ、申告納税制度は、大量の納税者の申告に対し、税務職員が効果的に調査を行うことによって、適正な税収を確保しようとする制度であるから、税務職員による調査は、正確性を維持しつつも数多くの申告内容を迅速に確認するものでなければならず、とりわけ消費税は、他の税目と比べ、大量反復性を有しているため、簡単に調査しうる確実な証拠によって迅速に調査を行う要請が強いので、同法三〇条七項は、仕入税額の証明手段を帳簿などに限定した。とすれば、同項にいう帳簿書類等は、税務署長などが申告内容の正確性を確認するための資料として保存が要求されているものであるから、同項は右帳簿書類が税務調査に供されることを予定し、税務職員が税務調査として帳簿などの提示を求めたときは、納税者はこれに応じることを当然の前提としているのであって、これに違反した場合は同法三〇条一項は適用されないと解すべきである。

本件各課税期間中、平成六年課税期間については消費税法三七条のいわゆる簡易課税制度の適用があることから、原告が問題としているのは、平成五年課税期間分であると考えられるところ、前記一1で認定したように、被告の係官が本件各課税期間分の帳簿書類等の提示を求めた際、原告は、平成五年課税期間分については、仕入金額明細書、請求書及び領収書を提示し、被告は右資料に基づく仕入分については消費税額を控除しており、外注費に係る帳簿書類等については、原告はその提示を拒否したのであるから、外注費に係る仕入控除の要件を欠き、同法三〇条一項は適用されない。

8  したがって、本件での推計による原告の所得金額の算出及び消費税額の算出には合理性がある。

三  以上のとおり、本件各処分の通知書に理由を付記しないことは違法ではなく、本件においては推計の必要性及び合理性が認められるところ、所得税については、本件各係争年分の原告の材料費を類似同業者の材料費率で除して算出した収入金額に、類似同業者の平均所得率を乗じて算出した所得金額から、事業専従者控除額を控除することによって得られる原告の本件各係争年分に係る事業所得の金額は、別表二の原告の事業所得の金額の算出経過表の番号〈7〉「事業所得の金額」欄記載のとおり、平成四年分が九五〇万三三六三円、平成五年分が一一五九万〇九六一円、平成六年分が一三六二万〇〇六三円と認められ、いずれも本件各更正処分に係る事業所得の金額を上回っているから、その範囲内で行われた本件各所得税更正処分は適法である。

また、消費税については、本件各課税期間分の原告の材料費を類似同業者の材料費率で除して算出した収入金額に、類似同業者の平均課税売上高割合を乗じて算出した額に一〇三分の一〇〇を乗じることによって得られる課税標準額に一〇〇分の三を乗じて得られる金額から仕入控除税額と、平成五年課税期間分については更に限界控除税額を控除して得られる原告の本件各課税期間分の消費税額は、別表五の原告の消費税標準額及び消費税額の金額の算出経過表の番号〈8〉「納付すべき消費税額」欄記載のとおり、平成五年課税期間分が二五万五三〇〇円、平成六年課税期間分が五三万三六〇〇円と認められ、いずれも本件各消費税更正等処分の消費税額を上回っているから、その範囲内で行われた本件各消費税更正等処分は適法である。

そして、原告が本件各係争年分及び本件各課税期間分の確定申告を過少に行ったことについて、国税通則法六五条四項の「正当な理由がある」とは認められないから、同条一項及び二項に基づいて行われた本件各所得税賦課決定処分及び本件各消費税賦課決定処分も適法である。

したがって、原告の本件各請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法六一条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小野木等 裁判官 村田斉志 裁判官 村上誠子)

別表一の1

課税処分等経過表(平成四年分所得税)

〈省略〉

別表一の2

課税処分等経過表(平成五年分所得税)

〈省略〉

別表一の3

課税処分等経過表(平成六年分所得税)

〈省略〉

別表一の4

課税処分等経過表(平成五年課税期間分消費税)

〈省略〉

別表一の5

課税処分等経過表(平成六年課税期間分消費税)

〈省略〉

別表二

原告の事業所得の金額の算出経過表

〈省略〉

別表三

材料費の額の内訳表

〈省略〉

別表四の1

類似同業者の材料費率及び所得率表(平成四年分)

〈省略〉

別表四の2

類似同業者の材料費率及び所得率表(平成五年分)

〈省略〉

別表四の3

類似同業者の材料費率及び所得率表(平成六年分)

〈省略〉

別表五

原告の消費税の課税標準額及び消費税額の金額の算出経過表

〈省略〉

別表六の1

原告の平成三年課税期間分の課税売上高の算出経過表

〈省略〉

別表六の2

材料費の額の内訳表

〈省略〉

別表六の3

類似同業者の材料費率表(平成三年課税期間分)

〈省略〉

別表六の4

類似同業者の課税売上高割合表(平成三年課税期間分)

〈省略〉

別表七の1

類似同業者の課税売上高割合表(平成五年課税期間分)

〈省略〉

別表七の2

類似同業者の課税売上高割合表(平成六年課税期間分)

〈省略〉

別表八

平成五年課税期間分の課税仕入高及び仕入控除税額一覧表

〈省略〉

別表九

限界控除税額計算表

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